伊賀忍者の末裔に出会ったことがある。
場所は、当時働いていた新宿歌舞伎町。
働いた期間は1年ほどだったが、接する人々の濃さに日々驚かされたものだ。
SM嬢、外で倒れる血まみれの男性、謎の乾いた液体が髪に掛かった状態で闊歩する女性、虚言癖があり実はどの店にも在籍していない自称ホストのクレーマー(あらゆる場所に出没してクレーム活動を行っている)など。
これはほんの1部分だが、出会う人や町ゆく人々が本当に多彩(この表現で合っているかは分からない)だった。
とはいえ、伊賀忍者の末裔に出会うとは思わなかった。
その人の名前は、妃羽理(ヒバリ)さん。
ニューハーフとして活動されている方で、物静かで美しく、上品な雰囲気の人だった。
しかしある時、会話の流れでヒバリさんが発した言葉に、私は耳を疑った。
『私、伊賀忍者の末裔なんですけど…』
・・・・・・・・・・・・え?
とても淑やかな口調で、信じられないワードが紡がれた瞬間だった。
・・・え??末裔???忍者????伊賀の?????
・・・・・バジリスクの話してる???
俄かには信じがたかった。
生まれて初めて見た。忍者。
かっこいい。正直羨ましい。
おそらく自分の先祖を辿ったところで、それはそれは長閑で慎ましい出自が明らかになるだけだろう。
そしてヒバリさんは、忍術をベースにした『シノビサイズ』という独自のエクササイズを考案していた。興味しか湧かないネーミングだ。
聞いてみると、忍術というものは、現在では体術の様な形で残っているらしい。
その日の帰宅後、YouTubeでヒバリさん実演のシノビサイズ動画も鑑賞した。
NARUTOのロック・リーの様な派手な動きを想像していたが、おそらく一般人向けに落とし込まれたであろうゆったりとしたエクササイズで老若男女真似し易そうな印象を受けた記憶がある。(現在は削除されているようで、検索しても見つけられなかった)
歌舞伎町で働いていた1年は本当に色んな意味で刺激的で、面白い出会いも沢山あった。
でも『忍者の末裔』は、さすがに初めてだった。
東京って、時々こういうことがある。
普通に生活する日々の中にも、こんなにロマンたっぷりの出会いが突然待っていたりするのだ。
ニンニン
